福祉用具関連

  • バイオシルバー社aamsの使用レポート

株式会社バイオシルバー

見守り介護ロボット「aams/アアムス」 利用レポート

 

利用期間 平成30年5月16日~

 

対象者: K・H   86歳   女性  要介護1

病 歴: 胃がん術後

高血圧・心肥大

右大腿骨頸部骨折

うつ傾向

 

経 緯:平成29年 1月 胃がんにて入院、ope

 

入居後は、慣れない環境もあり、表情も硬く、あまり他入居者と会話する事も少なかったが、時間の経過とともに徐々に笑顔もみられるようになっていった。

 

7月下旬頃より「めまい」「嘔気」を訴えるようになる。

夕食後、ベッドで横になると気分が悪くなり、少量の嘔吐もみられるようになり、本人は「胃がんが再発したのではないか?」と不安がられる様子みられた。

10月下旬頃には、歩行中に立ち止まるようになり、「ひどくて歩けない」と訴える事が増え、徐々に車いすを使用する事が増えていった。

腹部エコー検査等を行うも、異常なし。

また、食事量の低下みられ、表情の変化も乏しくなり、活気もみられなくなっていった。

 

老年性のうつ傾向ではないか?との主治医の判断で、内服治療開始すると、徐々に食事量は回復したものの、表情の変化や活気は乏しいままの状態である。

歩行力が低下してからは、ナースコールを押してもらいトイレ誘導することで失禁などはみられていない。徐々にコールを押される回数が減り、自力でトイレに行く事ができるようになっていると判断してきた。

 

現在は、食事・排泄・入浴など、必要な時には離床するものの、その他の時間はベッドで寝て過ごしている。また、夜間の巡回時には、呼吸の確認がしづらく、時間をかけて安否を確認している。(無呼吸があるのか、胸郭の動きがわかりづらい。時々おおきな寝息をたてる)

 

このような経緯の中「aams」の存在を知り、K様に使用してみることで、夜勤スタッフの安否確認時の不安の減少、呼吸数の変化を確認できることで「睡眠時無呼吸症候群」の疑いも発見できるのではないかと思い、デモ利用を開始。

   

設置はベッドに敷くだけ            呼吸数(上段)と心拍(下段)がモニターできる

 

5月16日 デモ機設置。

当初はセンサーの感度もよく、誤報などみられなかったが、徐々にセンサー感度が悪くなり、異常アラートが頻回に鳴る事が多かったため、調整が必要であった。

 

離床センサーとしての役割はしっかりとこなすので、「離床」したことでの異常アラートは正確である。

 

今まで、介護スタッフの間では、ナースコールが鳴らず、汚染もしないことから「自力でトイレに行っているのだろう」との思いであったが、異常アラートが鳴る事で、徐々に考え方に変化が現れ、「1日に何回くらいトイレに行っているのだろうか」という疑問から、果たしてそれは正常範囲の回数なのか?少なければ水分摂取量が足りていないのではないか?など、K様に対する観察事項にどんどん気づき始めるという利点が見え始めた。aamsは、異常アラートを記録しデータ化してくれるので、「排泄」に焦点を絞った時には、その方がトイレに行く時間を把握でき、仮に失禁等で問題のある人の場合には、誘導するタイミングをつかむ事に繋げられるかも知れない。

 

寝返りをしたりするとマットから体が離れるためか、「呼吸数」が低下して異常アラートが鳴る事もあった。本来、「呼吸数」を把握したいような状態にある方は、さほどベッド上で体動がない方になるであろうし、対象者、使用目的を明確にすることでクリアできた課題かと思われる。

 

 

※私は、高齢者住宅で勤務するようになって10年を迎える。この間、20人以上の方の看取りを経験させて頂いた。

24時間関わるのは、医師でもなく、看護師でもない。介護スタッフである。急変すれば在宅支援診療所の医師に連絡するが、延命を希望しない場合は、「呼吸状態が悪化すれば」「呼吸が止まれば」連絡してほしいと言われるケースもある。また、家族に連絡するタイミングも判断が難しい。最後の瞬間は家族の方に付き添ってもらいたいと思うが、そのタイミングを判断しきれずに、最後の瞬間に間に合わないことや、時には呼吸が止まっているのを巡回時に発見するといった事も少なくはない。多くの高齢者住宅では介護スタッフが1人で夜勤帯を対応している。ご入居者がターミナル期になると、このような不安を1人で抱えながら夜勤をする事になる。aamsを利用する事によって、かかりつけ医が設定した状況になれば異常アラートが警告してくれるという事は、介護スタッフにとって大きな「安心」をもたらしてくれると思う。

 実験の様子(メーカーHPより)

■aamsの使用対象者は、病状悪化などにより心拍や呼吸を管理しなければならない方であると思うが、自立度が高い方、認知症を有している方で、居室にカギをかけてしまい安否確認などが困難な方にも有効であると思う。

高齢者施設や高齢者住宅での安否確認の方法は、今後、変化していくのかもしれない。

安否の確認のために居室内に入られることを嫌う人は少なくない。夜勤をするスタッフからすると、安否確認をすることで異常が無い事を確認でき、安心感が得られる。aamsを設置することで、入居者のプライバシーは尊重され、介護スタッフの安心度は増す。モニターで管理できることによって、夜間巡回が短時間で済む事によるスタッフの負担軽減にも繋がる可能性があり、更なる機能の追加(例えば、温度・湿度が測定できる、臭いを感知する事によって、便失禁等を確認できる)によっては大きな可能性を秘めているように思います。

 

 

 

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